金製品を売って現金化と儲かった時に知っておきたい税金のいろいろ

「お使いにならない金のネックレスなどございませんか?」といった電話がかかってきたことが一度はあるのではないでしょうか。このところ金相場が上昇しており、買取業者も金製品を売ってくれるよう呼びかけているのです。では金を売った側も儲かるのか?利益が出れば税金がかかるのではないか?気になるところですね。安心して現金化するためにも金買取の仕組みを知っておきたいものです。

金はそのものに価値があるから世界で通用する

貴金属買取

金は鉱石鉱物でほとんどが天然の自然金として生産されます。地球上の埋蔵量には限りがあるので、一説によると可採年数は残り約10年とも言われます。希少価値が高く宝飾品やコインとして利用されていますが、化学的に安定して導電性がすぐれ加工しやすい性質から、現代では半導体にも使用されるようになりました。高価なためリサイクルされて、パソコンや携帯電話などの半導体部品に使われることもあります。建築装飾や伝統工芸品、壊れた器を修復する伝統技法の金継ぎなど金を必要とする分野は多く、さらに投資対象としても人気があります。需要が高いだけに金買取業者は増えており、金相場の高騰に伴ってプロモーションにも力が入るわけです。

金で利益は出るのか、買取業者と売り手の関係

貴金属買取

買取業者(お店側)は大体のところ「金をできるだけ安く買取って、できるだけ高く転売する」ことで儲けを出そうとします。そのため宣伝費を使って一人でも多くから、しかも大量に買取ろうとするお店では、持ち込んだ金製品が壊れていても引き取るケースが少なくありません。金そのものの価値は変わらないからです。ただし宣伝費をかけた分だけ手数料を高くしたり、相場より安く買取るお店もあるので売るときはよく調べて判断しましょう。スマホやパソコンなどの精密機械を集めて半導体に使われている金を抽出する業者もあり、精錬する設備や技術があれば加工して販売することで利益とし、設備がなくて自分で加工できない場合は専門の加工業者に転売します。なかにはブランドものの宝飾品をメンテナンスして販売するリサイクルショップもあります。買取業者はそのようにして利益を出すのです。

一方、金を売る側(普段は消費者)は利益が出るのでしょうか。単刀直入に言えば「金製品を買った時に払った額よりも高く買取ってもらう」のならば儲かることになりますが、心情としては使わずに眠らせていた金製品を現金化できただけで嬉しい場合もあるでしょう。それでもやはり、手数料が安くて(無料の場合もある)相場どおりに高く買取ってくれるお店を探したいものです。それでも消費税の関係で儲かるケースがあります。

金を売った時の税金と確定申告

貴金属買取

消費税

金は売買する際に消費税(現在10%)がかかります。消費税は「間接税」なので、消費者は業者から10万円分の金を買うとすれば10%の消費税を負担して「11万円」、100万円分だったら「110万円」を支払うことになります。金の場合、量が少なくても高価なため消費税もかなりの額になるのでしっかり計算しながら購入を検討しましょう。一方、お店に持ち込んで金を売る場合は買う側になる業者が金の価格に消費税10%分負担することになります。金を売却した時に消費税を受け取るのだから不思議な感じかもしれません。その際に法人と個人事業主は消費税の課税対象となりますが「事業開始後2年以内」および「法人は前々事業年度、個人事業主は前々年の課税売上高が1000万円以内」のいずれかに当てはまる場合は納税義務が免除されます。また法人でも個人事業主でもない個人の場合は消費税の納税義務がありません。そのため個人で金を売ったときは消費税分が儲かるわけですが、短期間に何度も金を売却すると営利目的の課税対象取引と判断され、納税義務を課せられる場合もあるので注意しましょう。所得税

金を買った時は気にしなかったのに、金を売るとなれば所得税がかかる場合もあるので注意が必要です。金の売却で出た利益は原則として「譲渡所得」に当たり、課税対象になるのは売った金額から金を購入した時の額や売却するための経費を差し引いた「売却益」です。譲渡所得は年間50万円までの特別控除があり、それ以下は非課税なので「50万円」のラインは気を遣うところです。また金の所有期間が5年以内だと「短期譲渡所得」、5年超の場合「長期譲渡所得」となり課税される譲渡所得の金額はそれぞれ「売却価格-(売却費用+所得価格)-特別控除50万円」、「売却価格-(売却費用+所得価格+特別控除50万円×1/2」で計算されるように、5年過ぎてから売却した時の税金は半分になり得する形になります。

確定申告と売却損(赤字売却)

貴金属買取

一般的に金を売ることはそうそうないので、利益が出てもすぐに確定申告と結びつかないかもしれません。しかし金の売却価格が200万円を超える場合、売却者はマイナンバーの提示、買取業者側は税務署に支払調書として支払金額(買取金額)および売却者情報などを提出せねばなりません。もし確定申告するのを忘れていたら税務署に調査されることがあります。サラリーマンなど給与所得者で年末調整をしている人は給与収入が2000万円以下でその他の所得の合計額(金売却分を含む)が20万円までならば確定申告は不要です。それに該当せず確定申告する時には所得の種類は「総合譲渡所得」、資産の種類は「貴金属」として譲渡所得の内訳を申告します。

また金を購入した時よりも安い金額で売らねばならず「売却損」が出た、いわゆる“赤字売却”の場合は他の譲渡所得から差し引くことができます。ただし給与所得など譲渡所得以外からは差し引けません。他にもジュエリーなどは一個の売却益が30万円をこえている場合に課税対象となったり、購入金額が分からなくなり証明する物がない場合に所得控除は売却金額の一律5%のみになることなどさまざまなケースがあります。税金は難しくて苦手だという方は税理士事務所や会計事務所、または信頼できる買取店に相談することをおすすめします。

金インゴットの話題。大分でも買取実績あり

貴金属買取

かつて国が1988年から1989年にかけて1億円を交付した「ふるさと創生事業」で「金塊」(金インゴット)を購入して話題になった自治体もありましたが、インゴットとはそれほど人を魅了するものです。金製品と言えばネックレスやリングなどジュエリーやメイプルリーフ金貨のようなコインをイメージしますが、金買取店にインゴットを持ち込む人っているのでしょうか。「黄金の鯛」で知られる道の駅・鯛生金山がある大分県では、大分市の買取専門店がツイートしたところによると今年の春、金インゴットを買取ったそうです。総額170万円以上で買取ったというから、やはりインゴットともなれば税金のことをいろいろ考える必要がありますね。

Googleマップで「大分県 インゴット」と検索すると買取店の口コミが見られますが、金のバックルやネックレス、形見のジュエリーなどは持ち込まれているものの、なかなかインゴットを買取った事例は目にしません。ちなみに金インゴットの相場をネットで調べたところ参考レートは「K24」で1グラム当たり「8523円」、「K10」だと1グラム当たり「3455円」でした。もしインゴットをお持ちでしたら、売却して現金に換えればいかほどになるか消費税も上乗せして計算してみませんか。